2024.03.11
転職を成功させる書類 3つのポイント
「転職活動で、いつも書類選考の段階で落ちてしまう……」という方はいませんか? 落ちてしまう書類に共通して言えることは、「企業が何を求めているか」という視点が欠けてしまっている点です。 企業が何を求めているか、という視点が抜け落ちてしまっているから、読み手の気持ちに配慮していない「読みづらい書類」や、企業のニーズに沿った経験を具体的アピールできていない書類を作成してしまうのです。 転職を成功させるためには、企業視点(企業が何を求めているか)を的確に捉えた戦略的な書類を作成する必要があります。 ここでは、転職活動を成功させるための、書類作成のポイントをご紹介します。 履歴書は「スッキリ」と 履歴書は、応募者のこれまでの略歴を、採用担当者に知ってもらうための書類です。 まずは採用担当者の視点に立って、採用担当者が読みやすいと思えるような、「スッキリと読みやすい」書類作成を心掛けます。 いわゆる「パッと見」の第一印象は、想像以上に重要で、内容以前に第一印象で落とされてしまう書類も少なくありません。 ですから、履歴書は読み手の気持ちに配慮した、スッキリと読みやすいレイアウトで作成することを心掛けましょう。 情報過多はNG! 情報の詰め込み過ぎはNGです。 応募者としては「できるだけ情報を入れて、アピールしたい」と思う気持ちがありますが、びっしり詰まっている書類だと、それだけで採用担当者は読む気をなくしてしまいます。 キャリアをアピールしたいあまりに、配属先・昇格などの経歴をたくさん書いてしまう人がいますが、これはごちゃごちゃした印象を与えてしまって、採用担当者を混乱させるだけです。それに、履歴書であまり情報量が多いと、「転職歴が多い人」「ポイントの整理ができない人」と思われてしまうリスクがあります。 また、「この書類の応募者は、読み手の気持ちに配慮できない自分本位な人」「相手のことを考えない人」という印象も与えかねません。 選考判断情報が足りないのもNG! 情報過多はNGですが、選考判断となる情報が足りないのも問題です。 情報が少な過ぎると、応募者の人物像がまるでイメージできないからです。たとえば、職歴欄に会社名と職種名しか書かれていないと、応募者がこれまでどんな仕事をしてきて、何をできるのかが分からず「選考判断情報が不足している」と判断されてしまう可能性があります。 職務経歴書は「企業視点」で分析を 職務経歴書は、「仕事の履歴書」であり、応募先企業に自身の経験・スキルをプレゼンする企画書です。 職務経歴書で最も大切なのは「企業視点」です。 採用担当者が職務経歴書でもっとも知りたいのは、「どのような仕事ができる人か」そして「これまでの経験がどれだけ企業側のニーズにマッチしているか」という点なので、ここを分かりやすく説明する必要があります。 どんなに立派なキャリアがあっても、応募先企業が求めている人材とズレてしまっていては、転職を成功させることはできません。 中途採用の場合は、新しく採用する人の配属部署、担当業務があらかじめ決まっているケースがほとんど。「こんな雰囲気の人で、こんなことができる人が欲しい」というイメージもおおよそ決まっていることが多いです。そして、採用側は、これらのニーズに合った人を探します。 ですから、応募先企業が求める人材像を分析して理解し、そのうえで採用担当者に「自分が、求められている業務にどれだけ適しているか」という点を、客観的にアピールすることが大切になります。 基本的な職務経歴書のスタイルは、【1】プロフィール【2】職務経歴【3】自己PRの、3部構成です。この3つを記載する場合は、常に企業の求める価値観、企業の求める人材像を意識しましょう。 【1】プロフィール プロフィールを書く場合も、やたらにアピール材料を詰め込めばいいのではなく、「応募先企業のニーズに合致した経験」「応募先企業の求める人材像」とマッチングした点をアピールしましょう。 プロフィール欄には、以下の3つを盛り込むようにします。 ①仕事の環境(どんな環境で仕事をしてきたか) ②仕事の内容とやり方(どういう仕事にどう取り組んできたか、何を身につけてきたか) ③仕事の結果(どんな実績を出して、どのような評価を受けたか、どのような点を改善し、どんな提案をして、その結果どんな変化が起きたか、など) 転職歴が多いと気にする人がいますが、企業が求める価値観を簡潔にアピールできれば問題ないケースがほとんどです。逆に職務経験が浅い場合でも、接点のある趣味や勉強などに触れることで、カバーできる可能性は十分ありますので、企業のニーズにマッチする部分がより強調されるように内容をまとめてみましょう。 ~プロフィール記載例~ ※下記の記載例は、応募先企業の対象顧客が20~40代の女性客であり、イベントの企画や実施を行う人材、加えて顧客ごとにカスタマイズして販売管理できる人材を希望していると分析したうえで、プロフィールを作成しています。 私はこれまで約10年にわたり、家具・インテリアを中心とした業界で、販売企画や商品企画の業務に従事して参りました。 5年勤務したA社では、20~40代の女性を対象に、店舗展開の戦略立案や運営はもちろん、リピート客獲得のためのイベントの企画や運営までを行っておりました。 イベントでは、商品の配置をあえて不規則にし、お客様が店内にとどまる時間ができるだけ長くなるよう工夫し、売上アップに貢献しました。 また、その後2年勤務したB社では、20~40代の女性のなかでもとくに富裕層を対象として、訪問営業を行いました。アフターフォローに注力した結果、リピート率の30%増を達成しました。 以上のような経験から、幅広い顧客層に対するカスタマイズやアフターフォローはもちろん、幅広い販売スタイルの提案、イベント等の企画・実施などを得意としております。 【2】職務経歴 職歴は全て記載する必要がありますが、全ての職務をただそのまま記載しても、かえってごちゃごちゃして逆効果です。 職務内容を記載する場合は、スッキリとしたレイアウトを心掛け、職務を仕分けたり、書く順番を工夫します。 職歴はいきなり書き出さずに、まずは自分の職歴について次の4つの視点から分析してみましょう。 ①経歴を振り返る これまでどんな状況でどんな仕事をしてきたか、書き出してみましょう。入社日、社内研修の期間、配属先や任された業務内容、異動なども全て書き出します。 ②実績、成果を振り返る 経費削減や利益率アップ、受賞歴など具体的な実績はもちろん、仕事でどのような工夫をしてきたか、その結果どのような効果が生まれたかを書き出します。 マネジメントの経験者は、役職や部下のメンバー数、表彰の経験などを忘れずに書き出しましょう。 上司や顧客に評価された点や、印象に残るエピソードも書き出します。 プロジェクトや新規事業の立ち上げに携わった経験については、事業内容や組織構成、その事業を立ち上げた背景や具体的な職務、そして実績や成果などについて具体的なエピソードを交えながら、ストーリー形式でまとめると、ぐっと印象が良くなるでしょう。 ③スキルアップ度を振り返る 「このような仕事をしたので、こういう成長ができた」などの成長度合いを書き出します。 「担当顧客が増えた」「1年目は2人で処理していた業務に就いて、2年目からは○○の点を改善し、1人で処理できるようになった」など具体的に書き出してみましょう。 ④専門知識、資格について 業務を通じて得た知識やスキル、もともと持っていた資格などを書き出します。 このように自分の職歴を分析したら、難易度の高いミッションや業務などから書いていったり、細かい業務については「○○業務全般」というように、ひとくくりにまとめて書くなどの工夫をして、職歴をまとめてみましょう。 その際も、「応募する会社のニーズにマッチしたものを中心にまとめる」という視点を忘れないように注意して下さい。 もっとも大きなアピールポイントになるのは、応募先の会社のニーズにマッチした経験や能力の部分です。 企業のニーズは複数あるケースがほとんどなので、求人広告や企業のホームページなどをチェックして、そこに書かれているニーズを細かく分析しましょう。 ~職務経歴記載例~ 平成○年4月 ○○株式会社入社 第一営業部配属 【取扱商品】 インテリアグッズ・家具 【対象】 大手デパート 【方法】 電話でアポイントをとりつけ、訪問して商品説明 受注から納品までの一連の作業(価格交渉、伝票作成、工場への発注業務、請求書作成、商品の納品、陳列などの一連の販促業務)を担当 平成○年4月 営業副主任に昇進(チームは10人) 新規開拓営業に従事し、チームが新規獲得優秀賞入賞(営業部員230名中10位)。 【3】企業の価値観に沿った自己PR 自己PRは、「企業の求める価値観」にしっかり沿って書くことが何よりも重要です。 「企業の求める価値観・マインド」とマッチングする人材であることをしっかりと盛り込みながら、自分の価値観・マインドをプレゼンテーションしましょう。 その際は、簡潔なエピソードがあると印象が良くなり、採用担当者に「会ってみたい」と思わせることができるので、おすすめです。 なお、これらの書類がひと通り作成できたら、少し時間を置いてからもう一度読み直し、「本当に読みやすい書類であるか」をチェックします。 その際は、「企業の視点」に立ち、採用担当者になったつもりで書類をもう一度見直し、適宜修正していきましょう。 ~自己PR記載例~ 売上を伸ばすためには、各店舗の担当者との、日ごろのコミュニケーションが重要だと考えています。 ですから、まずは誠実な対応と工夫を心掛けていました(たとえば先方の他情報を仕入れてから訪問し、話題を合わせるなど)。そのような工夫から、何気ない会話をすることにつながりますし、そのなかから仕入れ先担当者の特徴やニーズをつかむことができ、いち早く対応することも可能になったと思います。 担当地域変更の引継ぎの際には、「普段から、誠意のある迅速な対応に感謝していたが、引継ぎまで誠意ある対応をしてくれたことに感謝する」という、お褒めの言葉をいただきました。 不合格になってしまう書類とは せっかく書類内容が素晴らしくても、書類を作成する際のうっかりミスで印象を悪くしてしまい、不合格になってしまうケースもあります。 枚数が多くて文字が詰まり過ぎだったり、タイトルがなかったりすると、どんなに内容が良くても、担当者はそれだけで読む気をなくしてしまいます。 逆に、いかにもスカスカな見た目の書類では、「内容も薄っぺらいだろう」という印象を読み手に抱かせてしまう可能性も。また、内容にメリハリがなく「売り」が見えにくい書類も、やはりマイナスイメージにつながります。 ここでは、そんな不合格になってしまう書類の特徴についてまとめました。 誤字・脱字がある 言うまでもありませんが、誤字・脱字、イージーミスには十分注意しましょう。 誤字・脱字やイージーミスが多いと、「ケアレスミスが多い人」「常識がない人」という印象を与えてしまいます。 ■日付・氏名がない 日付・氏名を記入するのは、基本中の基本なのですが、案外うっかりミスをしてしまう人もいるので注意が必要です。日付は提出日を記入します。 ■(株)(有)など略している 書類上は(株)(有)など略すのは、NG。株式会社、有限会社と書きましょう。 ■西暦と和暦が混在 ひとつの書類のなかでは、西暦か和暦のどちらかに統一すること。 混在していると、とても読みにくい書類になってしまいます。 後ろ向きな退職理由 以前の勤務先や職務について、グチを書くのは絶対にNGです。 「社内の人間関係が悪かったから」「やりがいのない仕事だったから」「セクハラ、パワハラがひどかったから」など、たとえそれが本当のことで、自分に全く非がないことを訴えたいと思っていても、これらの理由をそのまま書くのは避けましょう。 同情を求めて書いたところで、事情を知らない担当者にしてみれば、「人間関係は、応募者本人にも原因があったのでは」「飽きっぽい人なのでは」という印象を持ってしまうリスクがあるからです。 ですから、転職の理由は、「今後はこういう仕事をしたいから」「前の会社で得るものは得たので、ステップアップのために転職したい」「これまでの経験を生かして、こういう仕事をしたいと考えた」など、ポジティブで前向きな印象を与えるワードを意識しましょう。 ~退職理由記載事例~ 前職では、マーケティング業務(調査の準備、統計ソフトのフォーマット作成、グループインタビューの速記、リライト等の業務)などに従事し、マーケティングの基礎知識を身に付けることができました。 前職では全国規模の調査には従事していなかったため、より対象者の多い調査、パネル調査の業務に携わりたいと考え、転職を決意しました。 「勉強させてください」 未経験分野に転職する人や、応募の動機を説明したり前向きな態度をアピールする際に「勉強させてください」と記載してしまうことがありますが、職場は学校ではありません。 職務に必要となる勉強は、自分でするという態度をアピールしましょう。 なお、未経験分野に転職する人の場合も、最大のアピールになるのは「これまでの実務経験」です。これまでどのような仕事に従事し、どのように取り組んできたのかを具体的に示しましょう。今までの経験をしっかりアピールし、必要な知識は自分で習得するという前向きな姿勢をアピールできれば、「この人なら、たとえ未経験でも、安心して任せることができそうだ」という印象を与えることができます。 自主的、積極的に新しいことをどんどん吸収していく姿勢、そしてその力があるということをしっかりアピールしましょう。 マイナスポイントに触れていない 長期のブランクがある場合や、実務経験が乏しい人、リストラや倒産を経験した場合は、応募先の企業側もその点を気にすることが多いです。この点に全く触れていない応募書類は、やはり印象がよくありませんし、書類選考で不合格になってしまうこともあります。 たとえ面接まで進めても、マイナスポイントについて面接で初めて説明する方が、印象はよくないでしょう。 自分でマイナスポイントだと思っていることでも、書類選考の段階で堂々と説明すれば、採用担当者にプラスの印象を与えることもできるので、書類上で必ず触れておきましょう。 返事が遅い 書類選考の段階で応募先企業から連絡が来ることも多いのですが、この応募先企業からの連絡について、返事が遅いのはマイナスです。タイムリーに返事を返すのは、間違いなく好印象につながるので、メールをこまめに確認し、スピーディな対応を心掛けましょう。