1887年の創業以来、独自の化学技術で社会の発展を支え続けてきた日産化学株式会社。現在、同社は半導体やディスプレイ材料といった先端領域、農業化学品においてグローバル市場で高い存在感を示し、強固な経営基盤を築いています。この日産化学の進化を最前線で牽引し、世界へ向けたモノづくりの中心拠点となっているのが、同社最大規模を誇る「富山工場」です。
今回は、次代のモノづくりを牽引する技術開発部長の中山様、異業種からの転職を実現した若手エンジニアの金尾様が登場。
140年に迫る歴史と最先端の技術革新が息づく現場。その裏側には、どのような試行錯誤や組織風土が隠されているのか。進化を続ける富山工場のリアルに迫ります。
Profile
中山 圭介(なかやま けいすけ)様
日産化学株式会社 富山工場 技術開発部 部長
1991年に新卒で入社し、同社の激動の歴史を第一線で経験。袖ケ浦工場や名古屋工場など各拠点で品質保証や技術開発を歴任し、2023年より現職。常に新しい技術を磨き続ける組織づくりを牽引している。
金尾 湧大(かなお ゆうだい)様
日産化学株式会社 富山工場 技術開発部 エンジニア
2025年5月入社。富山大学理学部卒。医薬品メーカーでの品質管理経験を活かし、現在は半導体材料の試作や分析に携わる。研究と製造を繋ぐ「橋渡し」役として、幅広い知識の習得に励んでいる。
【Adviser】中西 麻美(なかにし まみ)
ココカラ転職 北陸エリア担当
上場人材企業での採用支援を経て、2009年カラフルカンパニーに入社。北陸の製造・IT・建設業を中心に担当し、双方の意向を深く理解した「入社後の活躍を見据えたマッチング」を行っている。
激動の歴史と事業転換が育んだ、健やかな収益基盤と未来への投資
―まずは、日産化学様が業界内で非常に安定した経営を続けてこられた背景や、これまでの歩みについてお聞かせください。
中山様:
私たち日産化学は、1887年に日本で初めて化学肥料を製造する会社として創業しました。これまでの長い歴史を振り返ると、時代の変化を前にして、進むべき道に深く悩む時期も何度かありました。しかし、そんな苦境さえも次なる成長への糧と捉え、新たな挑戦を積み重ねることで乗り越えてこられたのだと思います。
―その困難な時期を経て、現在の高い収益を生み出す体制へと、どのように進化を遂げたのでしょうか。
中山様:
1988年に石油化学事業から撤退し、付加価値の高い「ファインケミカル(精密化学品)」の分野へ進出するという、大きな決断を下したことが転機となりました。これが、現在の安定した経営基盤を築くきっかけとなっています。
日本の大手化学メーカー21社の中で、弊社の売上規模や従業員数は決してトップクラスではありません。しかし、営業利益率で見ると、業界第2位という高い水準を維持できています。
景気に左右されにくい農業化学品や医薬品と、成長分野である半導体材料やディスプレイ材料などの電子材料のバランスを整えることで、過去にリーマンショックのような厳しい局面を迎えた際にも、社員の賞与をカットすることなく支給し続けられるほどの、強固な土台を築くことができたと考えています。
―安定した利益を土台に、未来への投資も非常に手厚いとお聞きしました。
中山様:
はい。この分野で独自の価値を提供し続けるには、絶え間ない研鑽が不可欠です。そのため、売上高に対する研究開発費の比率は約7~9%と、他社平均の約2倍近い水準で投資を続けています。
また、新卒採用においても、総合職の7割近くが研究職に配属されます。
「現在の成果に満足せず、常に次の一手、さらに高い技術を磨き続ける」という技術者としての誠実な姿勢が、組織全体に深く根付いています。
世界水準のモノづくりを凝縮。技術者の想いを即座に形にする広大な舞台
―皆様が所属されている富山工場は、会社の中でどのような役割を担っているのでしょうか。
中山様:
富山工場は1928年に設立され、2年後にちょうど100周年を迎えます。国内に5つある弊社の工場の中で、敷地面積、従業員数ともに最大の規模を誇る主要拠点です。
具体的には、アンモニアや硫酸などの基礎化学品のほか、スマートフォンのディスプレイを美しく映し出すための液晶配向膜や、半導体チップの極小回路を正確に形成するための反射防止コーティング材など、最先端の電子材料の開発や製造も担っています。
―敷地面積が東京ドームの約15個分もあるとお聞きしました。
中山様:
場内は広いので、基本的に自転車か車で移動し、安全のためにヘルメットや保護具の着用が義務付けられています。
この広大な敷地のなかには、大規模な製造プラントだけでなく、最先端の研究開発を行う施設や、製品の品質を厳密に評価するための分析設備など、多種多様な役割を持つ棟がいくつも集約されています。
特に半導体材料事業では、開発から製造までが一つの拠点に集約されているため、新しい課題やお客様からの高度な要望が来たときに、スピーディーに対応できることが大きなメリットです。
小規模な工場では、まず設備投資をして環境を整えるところから始めなければなりませんが、富山工場には、ビーカーレベルの小さな実験から、中規模のパイロット試作、そして大規模な量産まで、あらゆるフェーズに対応できる設備と環境がすでに整っています。「こういうことをやりたい」と思い立った時に、すぐに実験や試作ができる環境は、技術者にとって非常に恵まれた舞台だと思いますね。
失敗は次の技術への資産。挑戦を尊ぶ「モノづくり」の流儀
―新しいものを生み出す技術開発の過程では、ご苦労も多いのではないでしょうか。
中山様:
それはもう、失敗の連続ですね。新しい材料を開発して、それがすぐに世の中に出るなんてことは本当に稀です。挑戦した数のうち、うまくいかないことの方がむしろ多いのが現実です。品質の壁にぶつかったり、お客様の要求スペックに届かなかったり、苦しい場面は何度もありました。
―それでも挑戦を続けられる原動力はどこにあるのでしょうか。
中山様:
一つは、日産化学の「数多くのチャレンジを推奨する」という文化です。会社の上層部からも「どんどんやりなさい、いろんなことにチャレンジしなさい」と言葉をかけられます。そして何より、たとえその製品が世に出なかったとしても、私たちが試行錯誤した「経験」や「技術」は、確実に会社に残り、次の開発に必ず活かされるという確信があるからですね。
―失敗を単なるミスで終わらせず、次への資産として蓄積していくのですね。
中山様:
本当にそうですね。そして、いくつもの失敗を重ねた末に、一つでも二つでもうまくいって、新しい製品が世の中に出ていく。その時の喜びは、何物にも代えがたいものがあります。私たちが作っているのは、消費者の皆様の目に直接触れる完成品ではありません。しかし、世界中の人々が使うスマートフォンやパソコン、最先端の半導体の中に、私たちの生み出した材料が確実に使われ、社会の進化を裏で支えている。その目に見えない貢献こそが、技術者としての最大のやりがいだと感じています。
―そうした技術開発において、社外とのコミュニケーションも大切にされていると伺いました。
中山様:
はい。新しい技術を開発する過程では、自社内のみで完結させるだけでなく、パートナー企業様と協力し合いながら進めることも重要になる場面があります。お互いの得意分野が違う中で、相手の強みを理解し、自分の意見を伝えながら調整していく。そうした深いコミュニケーションを築くために、弊社には伝統ある来賓施設も工場近辺にあります。そこでお客様をおもてなしし、食事を共にしながら親睦を深めることもあるんですよ。単なるビジネスパートナーを超えた、互いに本音で向き合える信頼関係があるからこそ、技術的な難局にぶつかった際も共に知恵を出し合い、革新的な製品を世に送り出すことに繋がっているのだと実感しています。
ルーティンからの脱却。現場で磨く多才な技術と探求の醍醐味
―ここからは金尾様にお話を伺います。異業種から転職されたきっかけは何だったのでしょうか。
金尾様:
新卒で入社した医薬品メーカーでは品質管理を担当していました。定められた手順に沿って検査を行う大切な仕事ですが、毎日同じような作業を繰り返すなかで「もっと新しい技術に触れ、自分の知識を広げて成長したい」という思いが強くなったのがきっかけです。また、地元である富山県で腰を据えて働きたいという思いもありました。
―現在は技術開発部のエンジニアとして、具体的にどのようなフィールドで業務にあたっているのでしょうか。
金尾様:
現在は主に半導体材料の試作や分析を担当しています。製造から分析、条件検討や小スケールでの実験まで幅広く関わることができるため、自身のスキルの向上を実感する日々です。
技術開発部全体としては工場内にある複数の棟を活用しており、私も目的に合わせて主に2つの棟を行き来しながら仕事を進めています。さまざまな専門設備を使える今の環境は、技術者としての知見を深め、自身の幅を広げていきたい私にとって、これ以上ない最高のフィールドだと実感しています。
―前職の「品質管理」とはまた違った、開発現場ならではの面白さはどこにあるのでしょうか。
金尾様:
やはり、「条件をどう変えれば、どのような結果になるのか」という因果関係をダイレクトに確認できることですね。以前は完成した製品を確認する役割でしたが、今は自分が起点となって試行錯誤を繰り返す。そうして苦労して手がけた仕事が、実際に世界の最先端技術を支える製品になり、社会の役に立っている。そうしたプロセスを肌で感じられることこそが、この現場ならではの醍醐味であり、大きな達成感に繋がっています。
縦割りを越えて繋がる。全社で取り組む「横ぐし」の組織改革
―「技術開発部」は、他部署とどのように連携しているのでしょうか。
中山様:
技術開発部は、研究所で生まれた新しい材料のタネを、実際にお客様へ届ける「製品」として量産できるようにするための「橋渡し」の役割を担っています。そのため、研究所のメンバーはもちろん、工場で生産設備を動かす製造現場のオペレーター、品質を保証する部門など、社内のあらゆる部署と密接に関わる必要があります。
―規模の大きな会社で、部署間の連携を円滑にするために工夫されていることはありますか。
中山様:
かつては「自分の仕事はここまで」といった縦割りの意識が強い時代もありました。しかし、ここ10年ほどで会社全体として「横のつながり」を強化する変革期を迎えています。
現在、富山工場では「富山工場変革プロジェクト」という取り組みが進んでいます。各部からメンバーが集まり、人材開発、業務変革、現場のマインド変革など、複数のテーマに分かれて「どうすればもっと良い工場になるか」を徹底的に議論する活動ですね。トップダウンの指示ではなく、さまざまな立場のメンバーの意見を取り入れながら、現場からのボトムアップを含めて環境を良くしていこうという姿勢を大切にしています。
―「ボトムアップ」というお話がありましたが、社員一人ひとりが直接アイデアを提案できるような仕組みもあるのでしょうか。
中山様:
はい。象徴的なものとして「Ai(アイ)運動」という改善活動があります。これは、日常の業務のなかで「こうすればもっと良くなる」という気づきを、職種を問わず社員が自由に提案できる仕組みです。プラントの機材変更といったハード面の提案から、デジタルツールを活用した業務効率化といったソフト面まで、内容は多岐にわたります。定期的にグループで話し合う場も設けており、優れたアイデアは全社の発表会でプレゼンできる機会もあります。現場の自律的な改善を会社全体で後押しする、非常に前向きな取り組みですね。
―社員同士の交流も盛んなのでしょうか。
中山様:
労働組合が主催する自由参加のイベントが定期的に開催されています。ビーチボールバレー大会やボウリング大会、バスハイクなどの行事があり、参加したい社員がそれぞれのペースでリフレッシュしています。普段は接点のない部署や他工場の方ともフラットに話せる良い機会になっています。
金尾様:
私のいる技術開発部のグループでも、日常的なコミュニケーションが仕事のベースになっています。何より気さくで話しやすい方が多く、会議の場だけでなく、ちょっとした合間に相談したり意見を交わしたりすることが当たり前のように行われています。
そうしてお互いに良い刺激を与え合える環境があるからこそ、業務をより一層円滑に進められているのだと感じますね。
表面的な条件ではなく本質を繋ぐ。入社後の「定着」まで見据えた採用
―採用活動において現在どのような課題を感じていらっしゃいますか。
中山様:
近年は半導体などの分野を含め採用枠が増えている状況ですが、従来の手法だけでは応募がなかなか集まらないなど、採用環境は年々難しくなってきていると感じています。そうした中、ココカラ転職さんには約5年前から継続してご支援いただいており、非常に助けられています。
―ココカラ転職のサポートについて、どのような点にメリットを感じていらっしゃいますか。
中山様:
何よりの魅力は、ご紹介の丁寧さとスピード感ですね。配属先となる私たちにも「どのような人材を求めているか」を丁寧にヒアリングし、深く理解したうえでエージェント側でしっかりとスクリーニングをしてくださいます。
単に応募書類をご提示いただくばかりではなく、求職者の方の詳細や強みを分かりやすく伝えてくださるので、私たちが求めるコミュニケーション能力や要件との合致度が非常に高いです。おかげで選考プロセスをとてもスムーズに進めることができており、ミスマッチが少ないので本当にありがたいですね。
中西(エージェント):
日産化学様からは、仕事内容や将来の展望、さらには現場で今まさに直面している挑戦といった深い部分まで教えていただいています。こうした背景を深く理解することで、求職者の方へ表面的な情報ではない「本質的な魅力」をしっかりとお伝えすることを大切にしています。
また、日産化学様はミスマッチを防ぐために、選考の早い段階で現場の方と対話できる「カジュアル面談」の場を設けてくださいます。私も同席させていただくことがありますが、こうしたプロセスを丁寧に踏まれているからこそ、入社後の高い定着率に繋がっているのだと感じます。これからも企業様と求職者様、双方にとって良いご縁を繋いでいきたいです。
未来を創る仲間たちへ。技術で社会に貢献する喜びを共に
―最後に、これから転職を考えている方へ向けて、メッセージをお願いいたします。
金尾様:
転職活動では、「自分が仕事で何を一番大切にしたいのか」というブレない軸を持つことが大事だと、私自身の経験からも感じています。新しい環境に飛び込むのは勇気がいりますが、自分自身でじっくり考え抜いて出した決断であれば、きっと後悔はしないと思います。
日産化学は「いろんなことに挑戦したい」という意欲を温かく受け入れてくれる職場です。気さくに話せて、一緒に成長していける方と働けたら嬉しいですね。
中山様:
富山工場では、化学品から最先端の機能性材料まで幅広い製品を扱っており、研究、開発、製造、設備保全、品質保証など多様な人材が活躍しています。理系の方だけでなく、文系出身の社員も多く活躍している環境です。
その中で技術開発部は、研究所と製造現場を繋ぐ役割を担っているため、常に新しい課題がやってくる毎日です。同じことを繰り返すのではなく、次々と現れる課題に対して「やってみよう」とチャレンジできる方、変化を楽しみながら柔軟に取り組める方は大歓迎です。
この広大な富山工場で、皆さんと共に技術を磨き、社会に貢献していく日を楽しみにしています。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。
担当コンサルタントより
北陸担当
中西麻美
医薬品業界で品質管理として活躍されていた金尾様。初めての面談時、穏やかで論理的な会話と高い対話力が印象的でした。化学系の背景もあり、開発と製造の橋渡しとして活躍できると考え日産化学様へご紹介しました。現在はルーティンに留まらず、日々新しい業務に挑戦し範囲を広げていると聞き大変嬉しく思います。医薬品から化学品への業界チェンジとなりましたが、条件だけを見て闇雲に応募するのではなく、自身の強み・キャリアプランを整理し活動した結果が、素晴らしいご縁につながったと感じています。
COMPANY 会社概要
| 会社名 | 日産化学株式会社 |
|---|---|
| 資本金 | 18,942百万円 |
| 売上高 | 2796億円 |
| 事業内容 | 電子材料や農業用化学品、医薬品、基礎化学品などを展開する総合化学メーカー |
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