当社に応募した理由/面接でよく聞かれる質問
更新日:2020年6月12日

転職で行われる面接の質問は、企業ごと職種ごとにさまざまですが「なぜ当社に応募したのか」「なぜこの仕事をしたいと思ったのか」といった志望動機を聞く質問は、ほとんどの企業の面接で聞かれる定番の質問事項であるといえます。
志望動機を聞く場合には「応募した仕事に対する基本的な理解はできているのか」「長期勤続できる人か」という点を知りたいために聞かれている場合が多いので、誠意や熱意が伝わるようにしっかりと回答できるように準備をしておきましょう。
ここでは、面接でよく聞かれる質問のひとつである「志望動機」に関する質問および、回答する際の注意点についてご紹介します。
当社に応募した理由
志望動機のなかでも特によく聞かれる質問が「なぜ当社に応募したか」です。
この質問は「仕事内容も応募条件も似たような条件の会社が多々あるなかで、どうしてうちの会社を選んだのか」という点を知りたくて聞かれているのですから「ちょうど御社が事務職を募集されていたので」といった回答はもちろんNGです。
「なぜこの会社を選んだのか」という理由を、具体的かつ誠実に熱意をもって明確に説明できないと、いい加減な応募者であると判断されてしまいますので注意しましょう。
「御社の商品に興味を持った」だけではNG
「御社の商品(サービス)に興味を持ったので応募しました」という言い方だけでは十分ではありません。
「具体的に商品(サービス)のどこに興味を持ったのか」「どうしてそこに魅力を感じたのか」を明確に説明できるように準備しておきましょう。
「前職の経験が生かせると思った」だけではNG
「御社なら、前職の経験を活かせると思い応募しました」だけではNGです。これまで自分がどのような経験を持っていて、その経験をどのように生かしていけるのかという点を具体的かつ説得力のある表現で説明できるようにしましょう。
【回答例】
「以前からインテリアショップや雑貨ショップなどで御社の商品を拝見し手にとり購入させていただく機会が多くありました。
素材や加工技術はもちろん、斬新な発想にも大変興味をもっておりました。
そして自身が良いと思える商品を扱うことがより誠実に仕事に取り組むことにつながると考えるようになりました。
また前職で取り扱ってきた商品と販路が似ているので、その経験をベースに御社に貢献できるのではないかと考えたのが応募した理由です」
事業内容・経営方針に注目した場合
事業内容・経営方針・成長性などに注目して応募した場合も、事業内容のどの点に魅力を感じたのか、どうして成長性を感じたのかを具体的に説明できるようにしておきたい、という点では同じです。
「事業内容・経営方針」を応募した理由とすると、「マニュアルの回答しかできない応募者」と思われてしまうことも多いので、しっかりと理由を説明できるようにしておきましょう。
「高い給与額や待遇の良さ」はそのままでは危険
給与水準や待遇のよさに惹かれて応募する場合には、「給与水準や待遇のよさに惹かれたから応募した」とただそのまま本音をいうだけでは危険です。
給与水準がいい企業側の背景には、その高い水準に見合った業務がありますし企業の期待もあるはずです。
ですから、それらの業務や期待に応える覚悟が十分あり、また自分にはその能力があることをしっかり述べる工夫をする必要があります。
この仕事を選んだ理由
「この仕事を選んだ理由」も志望動機を聞かれる際によくある質問で、特に異職種からの応募者や勤務期間の短いキャリアの浅い応募者に多く問われます。
面接担当者がこの質問をする場合には「業界や仕事の内容を正しく理解したうえで応募しているのか」「興味や憧れだけが先行した応募ではないか」という点を確認したいのが本音です。
学歴・職歴・資格などで最低限の条件を満たして書類選考を通過した応募者でも、業務内容や仕事の内容をしっかり理解しないままに応募している場合があります。しかしそのような応募者は即戦力にならないうえに「理想と違った」とすぐに辞めてしまう危険性もあります。
ですから「この仕事を選んだ理由は何ですか」という質問は、「長期勤続を期待できるかという点を確認している」とともに「即戦力になり得るか」を確認しようとしているという点を意識して回答するようにしましょう。
「前職経験を活かしたい」が理由の場合
たとえ、前職で類似の業務経験があった場合でも、淡々とその内容を伝えるだけでは十分ではありません。
「○○の経験はありますので」といった表現をしたところで、応募先の業務とかけ離れている場合もありますし、直接応募した職種には関係ない場合もあります。
そしてその場合には、応募先企業に対する認識の甘さを露呈させてしまう危険性もあります。
ですから「前職経験を活かしたい」を、この仕事を選んだ理由とする場合には、前職と応募先の仕事内容に違いがあることをしっかりと理解している点にも触れながら、そのなかで活かせる前職経験を上手にアピールし、どのような覚悟や決心を持っているかを回答するのが効果的です。
【回答例】
「販売業務であるという点は前職と同じですが、御社のファッション販売は、商品の仕入れ管理を積極的に提案できる点や商品管理・ディスプレイも工夫することができ、さらに販促まで幅広く業務に関われるとい点に大変魅力を感じました。」
「第二新卒」の場合
第二新卒の場合には、未経験職種に志望するケースが多くなります。
しかし経験がないからといって、熱意ばかりアピールしてしまっても十分ではありません。
特に人気のある業界や職種は応募倍率も高くなりがちなので、厳しい面接を通過するためには「業務に必要とされる最低限の基礎知識」「業務の実態にふれた経験」を分かりやすくアピールしないと厳しい結果になる場合が多いです。
業務に必要とされる最低限の基礎知識
たとえば、マーケティング職に応募するのであれば、統計学や社会心理学などを学んだ経験をアピールしましょう。
学んだ経験がない場合でも「すでに勉強を始めている」という姿勢だけでもアピールしましょう。
なお「これから勉強するつもりである」といった表現だけではアピールにはなりませんので注意しましょう。
業務の実態にふれた経験
例えば学生時代のアルバイトで、業務の実態にふれた経験があればその経験を上手にアピールするようにしましょう。
そのほか応用できる知識や経験、主要クライアント業界の知識、商品開発の経験、トレンドに関する情報感度の良さもアピールポイントになります。
なお面接の前には事前に十分な業界分析を行ったうえで、応募先ごとにアピールポイントや具体的なコメントなどをしっかりとまとめておくとスムーズに回答できるようになるのでおすすめです。
転職(退職)を決意した理由
「転職(退職)を決意した理由」は、自己都合による退職をした応募者に対してよく聞かれる質問です。
応募先企業としては長期勤続できる人を採用したいので、「ささいなことで辞めてしまう人ではないか」という点を確認したいのです。
また転職(退職)を決意した理由を聞く際には、同時にその応募者の業務や職場への期待をどの程度持っているかを確認しながら、自社とのマッチングを見る狙いもあります。
応募者が転職先にもっている希望を確認し、「その希望は当社では実現しにくい」と感じると「この応募者を採用しても長期勤続は望めない」と判断される場合がありますので、注意が必要です。
なお転職(退職)を決意した理由を述べる際には、前職場の経営方針に対する批判や人間関係のトラブルなどを理由にするのはNGです。
実際にはこれらが退職理由であるケースは非常に多いのですが、どの会社でも似たような状況があり得るものです。
応募者の詳細な事情を知らない面接担当者からすれば、自社の状況が応募者の許容できる範囲内の職場であるかを判断しにくいですし、「ちょっとした人間関係のトラブルで辞めてしまうのではないか」という懸念を抱かれてしまうこともあります。
正社員を目指している場合
正社員になることを希望して転職活動をしている人が注意したいのは、派遣社員や契約社員であったことの不満や問題点ばかりを強調し過ぎないことです。
派遣社員や契約社員という働き方はそれなりにメリットもありますし、雇用形態の問題点だけを退職理由にするのでは説得力がありません。
不満や問題点などのデメリットを語る前に「正社員として責任のある立場で業務に貢献したい」「正社員として長期勤続して成長し、より貴重な経験をしたい」……といった将来の目標に焦点を当てたポジティブな姿勢を強調できる回答を準備しておきましょう。
ステップアップを目指している場合
「ステップアップ(キャリアアップ)を図るため」という回答は、一見前向きな姿勢を示しているようですが「なぜ退職したのか」の直接の理由にはなっていません。
ステップアップを図りたいだけなら、それは前の職場でも可能であったはずで面接担当者に「前職場でのステップアップの努力をしなかっただけなのでは」という印象を与えかねません。
ですから、「ステップアップ(キャリアアップ)を図るため」を転職理由とする場合には前の職場にはなかった応募先の特性(取扱商品、業務分野)にふれながらステップアップ(キャリアアップ)をしたいという意思をアピールすることが大切です。
持っている資格や技能がある場合には、「前職では生かし切れなかった資格や技能を応募先企業であれば実現できると感じる」ということ、そして「どうしてそう感じるのか」という点を具体的に示すと回答に説得力が出ますし、ポジティブな印象を与えることができます。